【漢詩俳句同好会】第16回諸橋轍次博士記念漢詩大会にて優秀賞ほか、多くの受賞をしました。

2024年11月10日(日)に新潟県三条市の諸橋轍次記念館にて「第16回諸橋轍次博士記念漢詩大会」が開催され、学生の部におきまして本校漢詩俳句同好会から6名の生徒が表彰されました。

受賞作品

【学生の部 優秀賞】 1年A組 大塚 悠馬

即事

連堤十里嗅潮香     連堤十里にして 潮香を嗅ぎ
釣艇漁歌涼味長     釣艇の漁歌に 涼味長し
晩浦幽荘無酷暑     晩浦の幽荘 酷暑無く
平波瀲灔月蒼蒼     平波瀲灔として 月蒼蒼

解釈

長く連なった堤防には潮の匂いが満ちて
釣りをする船で漁歌を聞いて涼しさを感じる
夕暮れどきの入江の幽荘では既に暑さはなく
穏やかなさざ波のうえには月が青白く光る

【学生の部 優秀賞】 1年A組 松本 雄元

梅天

梅天滴滴緑陰深     梅天滴滴として 緑陰深く
杜宇蕭蕭遊子心     杜宇蕭蕭として 遊子の心
陋屋窓前池鯉踊     陋屋の窓前に 池鯉踊る
閑人懐友好弾琴     閑人友を懐ひて 好く琴を弾ず

解釈

梅雨の空に水が滴って緑樹が生い茂り
ホトトギスがもの寂しく旅人の心を歌う
片田舎の窓前で鯉が楽しそうに泳ぎ 
暇人である私は友を懐かしんで琴を弾く

【学生の部 優秀賞】 1年E組 藤井 彩

雪中即事

千山万里雪霏霏     千山万里 雪霏霏たり
楓葉寒禽夕照微     楓葉寒禽 夕照微なり
冷気皓然銀世界     冷気皓然として 銀世界
凍雲茅屋凜霜威     凍雲茅屋 霜威凜たり

解釈

多くの山々に雪が絶え間なく降り続き
楓の葉と冬鳥は夕焼けの中で微かに見える
冷気は白々としてさながら銀世界のようだ
凍てつく雲のもと茅葺き屋根には霜が降りるほど厳しい寒さがある

【学生の部 奨励賞】 3年A組 谷川 纏

春遊

和風嫋嫋草初萌     和風嫋嫋 草初めて萌え
破蕾融融春意盈     破蕾融融 春意盈つ
畔路群蛙微雨裡     畔路の群蛙 微雨の裡
梅花戯蝶喜新晴     梅花の戯蝶 新晴を喜ぶ

解釈

和やかな風が嫋やかに吹き、草は初めて萌え
蕾が開く様子は長閑で、春の心地に満ちあふれる
畔路の蛙の群れは、細雨の中に潜み
梅の花のもとで戯れる蝶は、晴天を喜んでいるかのようだ

【学生の部 奨励賞】 3年A組 宮崎 絹凰

早春即興

東風澹然長蒼苔     東風澹然として 蒼苔を長じ
千里層巒幽谷隈     千里の層巒 幽谷の隈
碧葉柔条春暖促     碧葉柔条として 春暖を促す
春光馥郁一花開     春光馥郁 一花開く

解釈

春風が穏やかに吹き青い苔たちを成長させ
千里も続く山脈や奥深い静かな谷がある
青葉は柔らかく春の暖かさをもたらす
春の光が差し込み一輪の花が良い香りを漂わせながら咲き誇る

【学生の部 奨励賞】 3年C組 木浦 千尋

杏花零落

空城紅杏惜花飛     空城の紅杏 花飛を惜しみ
碧海暁風飄客衣     碧海の暁風 客衣を飄す
黄帕明眸忘不得     黄帕の明眸 忘るるを得ず
遥知星斗繞窗扉     遥かに知る星斗の 窓扉を繞るを

解釈

静かな街で紅い杏子の花が散るのを惜しみ
青い海の上で、明け方の風が旅装を翻す
黄色い頭巾の貴君の輝かしい瞳は今も忘れられない
星々が書窓をとりまく眺望を眺めている

【学生の部 招待作家】 3年D組 前久保 妃菜

三伏雨

翠蓋蟬聲兩部蛙     翠蓋蝉声 両部の蛙
幽香石竹繡毬花     幽香石竹 繡毬花
飛泉隔澗蝸成字     飛泉澗を隔て 蝸字を成し
靉靆殘虹帶晩霞     靉靆残虹 晩霞を帯ぶ

当日の様子

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