校長より皆様へご挨拶

理事長・校長 小川義男
【略歴】
北海道生まれ。
『あらすじで読む日本の名著』(中経出版)、『気品のある生き方』(中経出版) など著書多数。
テレビや雑誌、その他メディア等でも活躍。
北海道および東京都の公立小学校・中学校の教諭、教頭、校長を歴任し、平成8年より現職。
平成22年より埼玉県私立中学高等学校協会会長に就任。
平成29年11月 瑞宝小綬章を受章。
令和2年より学校法人狭山ヶ丘学園理事長。

期待を胸に本校での生活を始めた皆さん、志を新たに受験に向かいひたむきに努力をしている皆さん、そして新しい進路に向けて本校ホームページをご覧くださった皆さん、いよいよ新年度が始まりました。本校では、一人一人が抱く「大きな志」を大成できるよう教職員一同、日々真に役立つ教育実践を行うべく、たゆまぬ研究・研鑽を続け、その成果を生徒に還元し続けてまいります。

中学生・高校生という多感な時期は人生において、自己の確立にむけ貴重な時期です。先に申し上げた「大きな志」は、自分一人で明確にすることのできるものではありません。親や教師、異なる価値観をもったクラスメイトやクラブ活動の仲間といった他者との交流や支援のなかで、将来への夢や希望を少しずつ具体化していくなかで見えてくるものです。こうした自己の具現化の過程では懊悩たる物思いに沈むときもあるでしょう。しかしながら、そうしたときこそ自己を輝かせる最も重要な瞬間です。受け身にならず、親や仲間と語り合い、教師から様々なサポートを受けることで、自身の人生を彩る「大きな志」が見えてきます。そのために本校では、生徒たちが時々において意義を見出す機会を増やすべく、学問・スポーツ・文化といった幅広い分野での横断的な学び、協動的な学びを重視しています。

近年の本校の大学進学実績は、目覚ましいものと自負しています。こうした結果は、生徒たちが先輩たちの背中を見て、それに続こう、と努力を惜しまなかった結果です。合格実績は、傍目には数字にしか見えず、その「数」の多寡ばかりが話題になりがちです。しかし、受験に挑もうとする生徒たちには、自分自身もたどり着ける地点なのだ、と現実感を与え、挑戦する気持ちを掻き立てるものになっています。「努力に勝る天才はなし」と、私は生徒に度々伝えています。しかし、その努力も現実感がなければ挑戦しようとは思わないでしょう。本校では、現役合格をした卒業生を招き、生徒たちに直接受験体験や大学生活を語る機会を設けることで、進路実現の現実感を抱く契機を作っています。

さて、人口減少問題が世界的にも深刻化しています。我が国も例外ではなく、人口集中地とされていた首都圏においても、若年層の減少には歯止めが効かない状況です。こうした状況のなか、これまでの学力一辺倒の受験ではなく、生徒の総合力を重視する受験が国公立・私立大学を問わず増加しています。こうした受験が増えている背景には、総合的に活躍できる力をもった人材を大学や社会が求めていることがうかがえます。平たく申せば、大学においては主体的に研究を成し遂げる力、社会おいてはリーダーとして活躍する力、といったものが求められているのです。

本校では、大学入学時に必要な学力や教養を重視するのは当然ですが、社会の変化に呼応した人材育成のため、多角的な視点をもった生徒を養成しています。そのために、学びの専門性、生徒自身による問題解決力、それらを表現するプレゼンテーション能力やコミュニケーション能力を高めることを重視した授業や課外活動を展開しています。

本校の教育の特色である「対話」「黙想」「茶道」は、こうした授業展開の礎となっています。このうち「黙想」は、各行事や授業の冒頭に、一斉に姿勢を正し、息を整え、静かに自分を見つめる時間を約一分間行います。これを重ねていく間に、気持ちの切り替えを習慣化することができるのです。実際に、面接試験や、学力試験直前に、自ずと「黙想」を自分で行うことで、平常心で挑むことができた、という生徒が毎年多くいます。日々の教育活動の成果を学校が評価するのではなく、生徒たちが自ら良いものとして評価し、充実した人生を過ごしていることは本校の誇りとするところです。

世界や国で起こっている新しい波に安易に乗るのではなく、それを見極めながら、本校の伝統のもと、生徒全員が「大きな志」を遂げることができるよう、教職員一同、一層邁進し、支えてまいります。今後とも、本校へのご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

2024(令和6)年5月
理事長・校長  小川 義男

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