2020(令和2)年度 学校通信「藤棚」

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令和2年7月 381号
夏至も過ぎていった

 中学生諸君には分かるかなぁ。地球に季節があるのは、地軸(自転軸)が公転軸に対して、約23.4度傾いているためである。
 6月22日が夏至であった。それまで、昼の長さが伸びてきていたのだが、これからは夜の長さが少しずつ伸びてくることになる。暑さの中で、秋や冬が近づいてくるのである。ちょっと寂しい。
 目下は、梅雨の季節である。面白いことに、北海道には梅雨が無い。
 長雨を嫌う人も多いが、この雨があるから、田畑は作物を生み出すことができるし、山の木々も、緑濃く育つことができるのである。
 モロッコやエジプト、タクラマカン砂漠などの風景を思い出すにつけ、梅雨は、これらの人々の羨む「恵みの雨」であるということを、深く自覚したい。
 梅雨が終われば、猛暑の夏だ。人はエアコンで暑さを回避するが、江戸時代や、明治の人々は、窓を開け放ち、風鈴を吊して、吹き抜ける風に暑さを凌いだのである。団扇、縁台将棋など、江戸、明治の風俗には捨て去りがたいものがある。
 上野駅近く、不忍池の向かいに「江戸下町風俗博物館」がある。四畳半の居間に二畳の台所。鰯は通路で焼く、と言った時代の風俗を実感できる。この博物館には、一度立ち寄って下さることをオススメしたい。畳の四畳半に座っていると、江戸や明治の生活が、何とも薫り高く、懐かしく感じられるのである。
 網戸も無い、この時代には、蚊取り線香が必需品だったのであろう。
 赤道周辺には、四季は無いに近いのかもしれない。温帯にある我が国の気候風土が何とも尊く感じられるのである。

自学自習は勝利への近道

 

 コロナで学校へ行けぬ日が続いた。先生方も、電話による激励、ネットでの授業等、苦労なさったようである。
 諸君の中にも、学校の閉鎖があったから、学力が落ちたのでは無いか、と心配している人も少なくないだろう。
 だが、「自学自習」は実力育成の絶好の機会と、受け止めた人も、少なくないのではないか。こんなことを言うと、学校不要論として悪用されかねないが、実力が蓄積されるのは、実は自学自習による方法が最も効率的なのである。
 例えば、「世界史」「日本史」等に例をとろう。覚えておいてほしいのは、現代に近いカテゴリー(領域)ほど、大学入試に出題されるケースが多いのである。
 その、出題の多いカテゴリーを、集中的に読むことが最も効果的である。日本史でも、世界史でも、最初から覚えようとせず、物語として読み込む。人間の大まかな歴史として、物語を読む。そういう気持ちで読むと良い。最初から、覚えようとしてはならぬ。暗記しようとすれば、せっかくの面白い人間の足取りが、つまらないものに見えてしまうのである。
 四色ボールペンを使うと良い。私は、大切なところに赤線を引く。勿論、定規を使って丁寧に引くのだ。定義には青線を引く。思いついた疑問は緑で書き込む。色は諸君の好みでどれでも良い。このようにして出題可能性の高い部分を読み込んでいくのである。何回も読む。終わりには、教科書が崩れてしまって、新しい物に買い換えた人もいる。近現代が終わったら、古代から読んでみるのも、面白い。
 世界史、日本史の先生方にお願いして、「高校生が覚えておくべき年表 100」のような物を、狭山ヶ丘独自に作っていただけたらと思う。例えば、明治維新を、「いっぱつ無理でもやろう、明治維新(1868年)」 フランス革命は「革命は、いいなやっぱり苦しいが(1789年)」として覚える。
 歴史に対する知識がある程度蓄積されると、世界史、日本史を読む面白さが強くなってくる。そのとき君らは、確実に、目的の大学に近づいているのである。
 私は、社会科教師だが、専門は政治経済である。
 政治経済についてもほぼ同様な方法をとることができる。

予備校の利用方法について

 

私は、学校以外の教育機関は、浪人したときに活用すべきだと考える。現役の諸君の志向すべきコースではない。本校のように、優れた教師が揃っている場合には、通学しながら予備校を利用すると「二足のわらじ」になってしまうからである。
 尊敬する予備校の先生に聞いたが、予備校は10月から各大学の本番の問題を教材として扱うようである。(もちろんそうでないところもあるが)その先生は、「あまり早くから本番の問題を取り上げると、力がついて予備校に来なくなってしまいますからね」と笑っていた。
 ことほど左様に、本番の問題は力がつくのだ。だが今は夏休み前、時間にゆとりがある。当面は教科書にしっかり取り組んで、底力を養うことだ。教科書ほど優れた参考書は世の中にはない。
 人間に生まれついての能力差はない。まだ7月だ。君らは、まだ、どこの大学にも打ち勝つことができるぞ!中学生、高校1,2年生は無限の可能性がある。頑張り抜こう!本も読めよ。

令和2年4月 380号
2020入学式辞

 「武漢発コロナウイルス」が猖獗(しようけつ)を極める中で、ご来賓を招かず、保護者のご参加も頂かず、学園理事も出席しないという形の入学式を行わねばならぬ事態に立ち至りました。まことに遺憾な次第ですが、都内からの通学生も多い埼玉県としては、まことにやむを得ぬ仕儀であると思います。
 入学式も、県立高校への知事の指示に準拠し、一つの会場で儀式を行うのではなく、入学生それぞれが、各教室に分散し、窓も開け放って通風換気を維持し進める形を取ります。儀式そのものも、テレビ放送で行わねばならないと言うことは、校長としてまことに無念でありますが、これも、ウイルスとの戦いのため、やむなき仕儀とご寛恕下さい。
大東亜戦争が終結して75年になりますが、幸いに、この期間、世界は全面戦争に立ち至ることなく、局地紛争、宗教による内戦は別として、世界的大戦争は免れることができました。しかし世界は、この後、細菌戦、情報戦等の災厄に、悩まされるのではないかと憂慮されます。
 他国に比し、日本が、目下の所は、損害の急拡大を比較的防げているのは、特に医療関係の方々の質の高さ、死をも恐れぬ犠牲的精神のおかげであると私は思います。
 本日の入学生の中からも、このように志操の高い医療関係の人材が輩出されることを、私は期待いたします。
 高等部・中等部双方の入学生諸君に、強く自覚していただきたいと思います。それは、人間には、生まれついての能力差はないということです。本校の生徒は、資質的に高く、人間としても高潔でありますが、どうも大志に欠ける一面があるのではないかということを私は憂慮いたします。
 本校にはⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ類と、それぞれの学習集団があります。Ⅳ類には、サッカーと野球に重点を置く生徒が入学して来ております。それぞれ、県大会を制覇する志を以て、部活動に励んで下さい。女子バレー部は、このⅣ類に参加しておりませんが、県内ハイランクの実力を誇っております。私は、彼女らが、実力を誇る埼玉県を制覇することを楽しみにしております。
 サッカー部は、同じく県内に実力を誇るランクにあり、彼らが全県を制覇する日は遠くないと私は思います。野球部は、歴史的にベスト8を維持していた部であり、私は彼らが、甲子園に進出するであろうことを確信し、その努力に期待したいと思います。
 部活動は、我が国高等学校に必須のものであり、私は、それぞれの活躍、努力に大きな期待を寄せておりますが、同時に本校が進学校であることも、強く心にとめていただきたいと思います。
 本校には数多くの大学進学指定枠がありますが、諸君がどの大学に進学するかは、諸君の人生に極めて大きな影響を及ぼします。その意味で私は、指定校以外に、一般受験のための努力も大切にしていただきたいと思います。
 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ類は大学進学に力点を置くコースであります。指定校という安易なコースをはじめから目指すのではなく、一般受験こそ大学進学の王道であることを自覚し、常に大きな志を失うことなく前進し続けていただきたいと思います。
 常々申し続けていることでありますが、人間に生まれついての能力差はありません。自己の可能性を固く信じ、スポーツ、文化、学習の面で、諸君がそれぞれの持つ無限の可能性を開花させて下さることを、私は心から祈念いたします。
 諸君の存在は、ご両親あってのものであります。ご両親がなければ、世の中に存在せず、ご両親の慈愛に基づく育成なければ、今日、中学や高等学校に入学するに至り得なかったものであります。まさに親の恩は、「海より深く、山よりも高い」と言うべきであります。
 本日の入学の、諸君の勇姿を、誰よりも見守り、祝福したいのがご両親であります。事情によっては、お二人揃っていない場合もあるかも知れませんが、その場合親の恩、ありがたさは一層深いものと自覚して下さい。
 近年、親の老後を施設にゆだねる傾向が増えておりますが、まことに残念なことであります。諸君が教育を受けるのは、何よりも諸君自身のためでありますが、同時にそれは、国家社会と親のためであることを、本日ここに深く自覚して下さい。
 本日は、このような事情で、市長様をはじめ、PTA役員の皆様、学園理事の皆様のご列席を頂くことができません。しかし、これらの皆様が、入学生全体の未来を、心から願って下さっていることを諸君は忘れてはなりません。
 ご出席を願えぬ状況で、勝手な申しようではありますが、私たち教師は、いかなる環境にあっても生徒の明日のため、全力を尽くします。しかし、学校にも落ち度があり、ご迷惑をおかけすることもないとは言えません。そのようなときは、どうか、日頃の努力に免じてご寛恕下さいますようお願い申し上げます。
 また、このような時代であればこそPTAは、一層その重要性を増します。PTA役員の選出もお願いしなくてはなりませんが、何卒ご協力賜りますよう、お願い申し上げます。
 入学式翌日から学校が休みであるなど、私の人生にも経験しなかったことであり、諸君の人生にも重ねてはないことであると思います。しかし諸君、嵐にめげることなく、しっかりと戦っていきましょう。

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